『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
抑揚のない声と唸るように低さに、
血の気が引く。
最終的に乱暴に抱きかかえられ、荷物のように部屋と運ばれた。
初めて入る伊織の部屋を見渡す余裕なんてこれっぽちもなくて、玄関に入った途端に伊織が持っていた上質なコートを廊下に捨て、そこに投げ捨てられた。
硬いフローリングは回避され荒々しさの中にも、伊織の気遣いを感じた。
久しぶりの伊織の匂いに包まれて、涙が溢れそうになる。
先程までの恐怖よりも久しぶりに伊織に会えた喜びが勝る。
「いお兄、、?少し、、痩せた、、?」
涙目で伊織の顔を見上げる。