『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由


「相変わらず、そんなに無防備なんだな、、、。泣くほどな目に合っておきながら、簡単に心を許す。9年前もそうだった、、、。何も無かったかのように俺に接した。今度は、、、無かったことには絶対にさせない。」

急にしゃがみこんで、髪の中に手を入れ顔を強く引き寄せた。



そして噛み付くようなキスをされる。
いや正確に言うと噛み付かれた。




「んっ、、、、やっ、、、!」


未だに動かない片方の手と反対の手で抵抗を試みるものの、両手でガッチリと頭を掴まれていてビクともしない。


人生2回目の伊織とのキスは、あの時とは違って血の味がした。

舌が別の生き物のように動き回り、あの頃と格段に違う動きから逃げられない。

ただ呼吸をするのが精一杯だった。
< 142 / 193 >

この作品をシェア

pagetop