『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
伊織はリビングに戻ると、乱暴にスーツのジャケットを掴み玄関へ向かった。
そして合鍵で鍵を掛けて、自分のマンションに歩いて帰った。
「、、、だから嫌だったんだよ。」
夜風に当たりながら、小さく呟く。
1つ下の美鈴は、家族のような存在だ。
冷たい印象の自分に、懐いて笑顔で付いてきてくれる美鈴が可愛くて仕方なかった。
下に弟と妹がいるが、妹とは違う感情が芽生えたのはいつだっただろうか。
自分と正反対の美鈴に惹かれたのは、必然だったのかもしれない。
ふわふわと柔らかい。
そんな美鈴に癒しを求めた。