『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
メニューを広げていると、バタバタと走ってくる足音がした。
顔を上げると、うっすら汗をかいている雅人の姿が目に入った。
「雅君、お疲れ様っ。そんなに急がなくても大丈夫だったのに〜。私も今来たところだよ?」
優しく微笑みかける美鈴に、表情を歪ませ静かに向かいの席に着く。
「今日は何にする〜?またメニュー増えてるよっ!!ほら、このイカのバター焼きとか凄く美味しそうだよ。雅君、魚介好きでしょう?」
そんな無邪気な美鈴の姿に、いつもみたいにおちゃらけたキャラじゃいられない。
美鈴からメニューを奪い取り、棚に戻した。
「聞いたよ?父さんの紹介で、東社長と会う事になったんでしょ、、。」