『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
「分かったようなこと言うな、、、、。」
これまでと比べ物にならないくらい低い声に、美織は口角を上げた。
「ふふっ。やっと認める気になった?もしかして気づいてないとでも、、、思ってる?美鈴姉ちゃんが高校2年の最後の日から大学までの5年間、やたら異性を避けてたの。しかも雅人までにもなんかよそよそしいし?おおよそ見当がつくよ。お兄ちゃんが高校を卒業して少し距離のある大学に行くことが決まって、、、、会えるのが最後になる卒業式の日。思春期だもん、理性に負けたってとこでしょ。それはいいとして、何故かそれから実家にも増田家にも寄り付かなくなるし。訳わかんない。美鈴姉ちゃん、大分傷ついてたよ。」
「馬鹿か、、、傷ついてたのはこっちだ。」
小声でボソッと呟く伊織の声は、美織には届かない。