『、、、泣いただろ?』〜幼馴染の涙の理由
特に何か会話するわけじゃないが、この穏やかな時間が好きだった。
かなりの身長差があるにも関わらず、隣を歩いてくれる伊織の優しさが好き。
保育園からずっと一緒。
小学校と中学校は目と鼻の先で中学は中高一貫の学校に通った為、中学と高校は同じ敷地内。
伊織は神崎ホールディングスの跡取り。
長男として生まれた時点でそんな運命からは逃れられなくて、いよいよ本格的に経理学を学ぶ為に此処からは通えない大学へと進学を決めた。
いつも以上に歩くペースが遅く感じて、伊織も自分と一緒でこの帰り道を名残惜しんでくれているみたいで、嬉しく思った。
それでも比較的に家から近い。
伊織の豪邸が見えてきた。