幸せを探して
誰にも言えない本音。


いつも隣で笑いかけてくれた人がいないって、こんなに辛いなんて知らなかった…。



それから少しして、私は中学校に行くために家を出た。


履いた長靴がパコパコと音を立てる。


まだ雪は降っていないけれど、雲はどんよりと漂い、今にも雪を降らせそうだ。


徒歩15分程の距離にある、私が通う梅ヶ丘中学校(通称梅中)は、創立20年。


4階建てで、エレベーター等のバリアフリー対応もされている中学校だ。


校風も良く、地域からは良い印象を受けられている。



私は通い慣れた道を1人で歩く。



木々は緑色を失くし、それでも変わらずに立ち続けている。


雪が降ったらそれなりに良く見えるのかな、なんてことを考えた。


雪を見れないのに。



学校に着くと、いつもにも増してクラスメイトが騒がしい。


冬休みの宿題を、誰の邪魔もしないように教卓へ置く。


クラスの中で、最も人が集まっている場所。


その中心にいるのは、私と最も仲の良いクラスメイト、橘 愛来(たちばな あいる)だ。


手を振られたので私も笑顔で手を振り返したが、私はその会話に入らずに窓側の自分の席に座った。



美花が居なくなってから、私の世界から色が消えた。


いつもなら輝いて見えた日常が、全く輝かない。
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