幸せを探して
まるで、自分だけ闇の中にいるようだ。


愛来も沢山心配してくれて、一緒に泣いてくれた。


けれど、未だにちゃんと笑えないのは何故だろう？


過去の事を引きずっているからだと分かっているけれど、どうしても振り切る勇気が出ない。


どんなに悔やんでも、泣いても美花は戻って来ないのに……。


そんな風にぼーっと考えていると、いつの間にかチャイムが鳴り、担任の加藤先生と見知らぬ男子生徒が入ってきた。


男だからか大きな体の加藤先生と、見知らぬ男子生徒。


そのコンビは、ありえないほど滑稽だった。



興奮し、指を指すクラスメイトを私は遠くから眺めていた。


美花が亡くなった今となっては、何を見ても皆のように興味が湧かない。


何が面白いのかも、楽しいのかも、全てが分からない。



｢ほら、静かにして、座って！…転入生から自己紹介があるから…｣


先生が興奮しているクラスメイトを静かにさせ、席に座らせると、


｢斎藤 翔平(さいとう しょうへい)です…宜しくお願いします｣


と転入生が自己紹介をした。


少し低めの声が、耳に残る。


｢斎藤君は、アメリカから最近帰国して来て、日本の事がよく分からないだろうから、皆教えてあげて｣
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