幸せを探して
そのうち、最初は普通に授業を続けていた先生の声も、次第に大きくなっていく歓声にかき消されていき…。


とうとう先生の怒りが爆発した!


「ちょっと!君達、授業聞く気はあるのか!?」


その一言で騒がしかったクラスメイトはたちまち静まり返り、今度は真面目に授業を受け始めた。


遅れていた分のノートを急いでとり、先生の言う通りに教科書にラインを引いたり。


私はそんなクラスメイトを見ながら、


(ちゃんと聞いていて良かった)


と思いながら、皆と同じように楽しく笑えない自分に対して、もどかしさを感じてもいた。



2時間目になると、クラスメイトは先程とは打って変わって静かになり、授業に集中し始めた。


ふと横を見ると、斎藤君が顔をしかめて頭を押さえているのが目に入った。


(斎藤君、どうしたんだろう…)


私は心配に思ったけれど、それ以上深くは考えなかった。


関わったところで、損をするのはこちらだ。


今日転入してきたばかりでも、どうせいつかは、私が双子だったとばれる日が来る。


私から口を開くことは無いと思う。


絶対に、ばれたくないから。


ばれるのだけは、絶対に、絶対に、嫌だ。
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