幸せを探して
夢の中で
「……ちょっと、美空?起きてよ、せっかく会いに来たんだからさー」



…なんだか、とても懐かしい声がする。


ずっと、この声を待っていた。


沢山沢山、聞きたくて仕方がなかったこの声。


「ニゲラの花、本当に効き目あるんだ。…ねえ、美空ってば!私、帰っちゃうよ?」


少し拗ねたようなこの声も、あの人にそっくりで。


まるで、美花のような…。


(え、美花?)


私は驚いて目を開けた。


暗くしてあったはずの電気はついているが、カーテンの隙間から見える外は真っ暗だ。


そして、私のベッドに容赦なく座っている人が居る。


「え…」


驚き過ぎて、声すら出ない。


「あ、起きた?美空、私の事覚えてる?」


その人は、私の方を向いて花が咲くように笑った。


生前と同じ笑顔で、同じ姿で。



そう。


美花だった。


「……み、か……?」


「覚えててくれたの?良かったー、忘れ去られてたらどうしようかと思ってた!」


(有り得ない、有り得ない、夢だ、夢)


私はそう言い聞かせながら起き上がる。


どう対応していいのか分からなかった。


なにせ、隣に亡くなったはずの人が座っているのだから。
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