幸せを探して
「ごめん!私のせいだよ。私があの日、美花の傘を取りに行ったからっ…」


私は謝る。


どんなに謝っても、許されないと知りながら。


大切な1人の命を、奪ってしまったのは私だから。


「あの時、私が傘を取りに行ったから…美花は、私を守ろうとして…」


(守ってくれなくて、良かったのに)


私の中で、再び笑顔が消えていくのを感じる。


私はまた、疑心暗鬼に陥っていた。


「違うよ、美空」


美花の柔らかいその声で、私は弾かれたように美花を見る。


「私はわざと車に轢かれたんじゃない。私は、美空を守る為に車に轢かれちゃったの」


それは、分かるでしょ?と、美花はにっこりと微笑んだ。


「じゃあ、何で…」


(何で、守ろうとしたの?)


「私が死ねば良かったのに…」


私は思わず自虐的な言葉を口にする。


「美空、ちゃんと聞いてよ」


美花は柔らかな笑みを浮かべ、私の手を握る。


「私は、美空を守って死ねてよかったって思ってる。…私は、美空を助ける為なら死んだっていいって思ったの」


「え…」



初めて聞いた、美花の本音。


私はただただ、目を丸くして美花を見つめていた。
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