幸せを探して
美花は話を続ける。


「でもね、私が死んじゃった後、美空凄く暗くなっちゃったでしょ?雪見たら倒れちゃうし。だから、凄く申し訳なくなっちゃって…」


「…」


「私ずっと隣に居て、美空に声をかけてたんだけど…気づかなかったよね?」


「えっ!?」


思わず素っ頓狂な声を出し、私は慌てて口を押さえた。


それを見た美花は、お腹を抱えて笑った。


「まあ、気づかないのも当たり前か」


すぐに、美花の顔から笑顔が消えた。


「…美空がずっと1人で苦しんでるの見て、私があの時死んじゃったのはいけなかったのかな?って考えちゃってさ」



私達の間に、沈黙が訪れる。


既に死んだ美花が、そんなことを考えていたなんて。


私も考えていた。


(あの日、誰も死なずに助かる方法は無かったのか…?)


と。


けれど、どんなに考えても、あの状況でどちらも助かるということは有り得なかった。


美花が私のことを見殺しにする。


守ろうとする美花を押し退け、私が轢かれる。


美花が私の事を引っ張って助けようとするけれど、私が轢かれる。


沢山考えた。


終わった過去は、やり直すことが出来ない。


それは、美花も重々承知のはずだった。
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