幸せを探して
美花が死んでもなお、諦め切れないのは何故だろう。


もう終わった事なのに、2人とも生きている新たな世界を想像してしまうのは何故だろう。



1年前までは、楽しく笑って過ごしていたのに。


あれから1年が経ち、私は双子の妹とどう接していいのか分からなくなってしまった。


私達の中に、気まずい雰囲気が流れる。


喧嘩した時とはまた違う、話したい人が目の前にいるのに話しかけづらい、そんな雰囲気だ。


美花は苦笑いを浮かべ、私も曖昧に微笑む。


ただ、時計の針がチクタクと秒数を刻む音しか聞こえない。


(どうしよう?)


そう思った時。



「はいはい!しんみりしない!」


美花が突然手を叩き、その顔中いっぱいに花を咲かせた。


「せっかくなんだからさー、笑おうよ?」


美花はにこにこと笑う。


私は頷き、今日何度目かの質問をした。


「これって、夢だよね?」



よく考えてみれば、おかしいのだ。


美花のシャンプーの匂いが分かったり、手の温もりを感じられたり。


夢では、こんな事はありえないのだ。


感触は分からないはずだし、ましてや嗅覚など使い物にならないはずなのに。


私が質問した途端、美花は顔を強ばらせた。


けれど、それは一瞬の事。
< 178 / 248 >

この作品をシェア

pagetop