幸せを探して
美花は、


「夢、だよ」


と返事を返す。


「リアル過ぎる、夢だよ」


と。


私は納得し、頷き返した。



美花はこの話が嫌だったようで、あからさまに話題を変えた。


「あの翔平君、凄いね!ニゲラの花が分かるなんて。しかも美空にあげるとか相当勘が良いのかな、あの子」


「え、斎藤君の事知ってるの?」


私は驚いて仰け反る。


「だって、美空の近くに居たから…転入生が来た事くらい知ってるよ」


家に入れたでしょ、と美花は意味ありげに笑う。


「翔平君、花言葉に詳しいの?」


美花は私に尋ねる。


「ううん、陸人に教えてもらってた」


(美花、知らないんだ)


私は丁寧に答える。


「陸人、ギフテッドだもんねー」


当たり前のように言った美花は、けらけらと笑う。


「ねえ美空、覚えてる?前に、陸人に円周率言って、ってお願いした時の…」


「うん、覚えてる覚えてる!」


美花が、さりげなく自分の思い出を話し始める。



あれは、小学生の頃。


私達は算数の問題が解けず、放課後にたまたま残っていた陸人に教えてもらっていた。


それは円の問題で、いちいち3.14を掛けて計算するのが大変だった。
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