幸せを探して
「陸人、花言葉もマスターしたなんてさ、流石だよね」


「うんうん」


昔の記憶に導かれ、私達は元の双子のように会話していた。


もう、私達の間に壁は感じない。


“死”と“生”の壁は、無くなった。



「美花は、ニゲラの花のおかげで私と会えたの?」


私は素朴な疑問を投げ掛ける。


「うん、まあそんな感じ」


美花は頭を掻きながら答える。


「本当は、こんな簡単に会いに来れないんだ」


美花は、いつの間にか取った私の枕を抱きしめながら言う。


「ううん、こっちこそ。来てくれてありがとう」


私達は顔を見合わせ、笑い合う。


以前のように。



それから、私達は沢山話し合った。


美花が居なくなってから起こった出来事や、昔の思い出。


空白の1年間を、埋めるように。


話の幅は広かった。


外国の事や、世界の事。


学校の事や、友達の事。


昨日の放課後の出来事を話すと、美花は


「斎藤君、悩んだんだね…でも、美空と同じく言えて良かったね」


と涙ぐんでいた。


そして、私は思い出した。


「あ!」


突然大きな声を出した私に驚き、美花は


「わ!?」


と枕を放り投げた。
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