幸せを探して
美花が居る今だからこそ、聞いておかなければいけない。


「美花、“2人で1つ”って何?」



ようやく聞けた。


ずっと1人で考え、答えが分からずに悩み続けた。


(こんな時に、美花が居てくれたら…)


そう、何度思ったか計り知れない。


けれど、今は美花が目の前に居る。


夢だろうとなんだろうと、これだけは忘れてはいけない。


後で、“幸せ”についても共に考えたいのだから。


お父さんからの課題も。


ようやく、答えられる。



美花は毛布に倒れ込んだ。


「え、意味知らなかったの?」


「うん、知らなかった」


美花は笑い声をあげる。


いつかのように。


「よく聞かない?『努力は必ず報われる』とか『一緒に居れば困難も乗り越えられる』とかさ」


そういうの全部まとめて綺麗事って言うんだけどね、と美花は笑う。


「そんな感じで、私も考えてみたの。それが、“2人で1つ”」


「…」



呆気なく終わった。


これ程までに意味が無い言葉を、美花は連呼していたというのか。


私があんぐりと口を開け固まっているのを見て、美花は慌てて言葉を付け足す。


「でもね、ちゃんと意味はあるんだよ!」


「…教えて」


まともな意味であることを願う。



「あのね…」


美花はゆっくりと言葉を選びながら話し始めた。
< 187 / 248 >

この作品をシェア

pagetop