幸せを探して
「お母さんから聞いたんだけど、私達みたいな一卵性双生児の双子って、元々は1つのものが2つに分かれたんだって」


それは私も知っている。


私は、頷きながら話の続きを促す。


「だから、外見も性格も…色々見分けがつかないくらい同じになっちゃうんだけど」


そこで、美花は布団から起き上がった。


「私達は2人だけど、元々は1人だったわけでしょ?だから、2人で1つなの」


感心する私を見ながら、美花は得意げに話を続ける。


「だから、もしも片方が死んじゃっても、私達は2人で1つ。つまり、もう片方の中ではずっと生きてるって事なの」


「…」


私の視界が揺れる。


「それに、2人で1つっていうのは、ずっと傍に居て、隣に居て、2人で人生を歩むっていう意味なの」


私の視界がぼやける。


「…私達は、もう出来ないね。2人で、人生を歩めないね」


美花が俯く。


「でもね」


ぱっと美花が顔を上げる。


「私は、美空の事が心配だから。ずっと2人で居たのに、1人になっちゃったら…。だから、私はずっと隣に居るからね」


美花は恥ずかしそうに笑う。


「美空に見えなくてもいい。私達は、ずっと2人で1つだから。…美空の心に、生きてるから」


とうとう、涙が外へと流れ出した。


透明なそれは、私の頬を伝って毛布へ吸い込まれていく。
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