幸せを探して
「美空、泣いててもいい。でも、私の話をちゃんと聞いていて」


美花は口元に笑みを浮かべ、私を見つめる。


「私は、もう美空と一緒に生活できないの」


私は泣きながら頷く。


美花が、何故笑ってそんな事を言えるのか、不思議だった。


「だから、絶対に死にたいなんて思わないで」


美花の声は、静かに私の心に響く。


「もし美空が早く死んじゃったら、私絶対に喜ばないから」


少し冷たく言い放った美花は、数秒後に笑顔を作る。


「早く死んだら、お母さん達も悲しむよ?…だからこっちの世界には、自分の人生を全うしてから来てね」


美花の目がきらきらと光る。


美花は、涙目になっていた。


「私は、ずっと美空の近くに居るけど、全部見てる訳じゃないから。…だから、こっちの世界に来た時、私に色々教えられるように、沢山思い出を作ってきて」


私はぶんぶんと首を縦に振る。


美花の為なら、全て覚えておこう。


いつか、美花に言えるように。


「…私は、見ているだけで体験しているわけじゃないの。それに、私の生きていた頃の記憶は、中学1年生のあの日までしかないの」


美花がゆっくりと言葉を繋ぐ。
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