幸せを探して
「…私は、美空とは違って中学2年生じゃない。美花は中学、高校…って、卒業したり入学したりするけど、私はできない。成人式も参加できないし、結婚もできない。子供の顔も、孫の顔も見れないの」


美花はぎゅっと下唇を噛む。


今でこそ美花は生きているように見えるけれど、実際は美花は亡くなっているのだ。


忘れかけていた事実。


私の胸は、“締め付けられる”という感覚を超え、まるで縄でぐるぐる巻きにされたうえで引っ張られるように痛んだ。


私は思わず胸を押さえる。



「だからっ…美空、私の分まで生きて…!そして、教えて。楽しかった事も、苦しかった事も、全部…!私、ずっと待ってるから…」


美花は、涙をぽろぽろ流していた。


ぐすんと鼻をすすり、手を固く握りしめる美花。


まるで、自分の中で荒れ狂う波のようにせめぎ合う感情を、押さえ込もうとしているようだった。


新たな涙を流しながら、私は美花の背中をさする。


今、姉が妹にできる精一杯の優しさ。


美花はしゃくり上げながら、何度も何度も頷いた。


私には、“ありがとう”と言っている様に感じられた。


何せ、ずっと一緒に居たのだ。


何を表そうとしているのかなんて、全てお見通しだ。
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