幸せを探して
美花も、私とは違う理由で思う事があるようで。


「嫌だっ…戻りたくない…」


と、小さい子のように泣き続ける美花に、私はどう反応していいか分からず、ただただ背中をさすり続けた。



「…2人で1つっていう言葉に、そんな意味があったなんて…」


しばらく経って泣き止んだ美花に、私は話し掛ける。


私の頬を伝った涙は、そのまま乾いてしまった。


「…私が考えたんだよ」


美花は、あからさまに褒めてと言いたげな目を向けてくる。


私は苦笑いしながら、小さく拍手を送ってあげた。



「あ、あともう1つ聞きたい事があって…」


しばしの沈黙の後、私は口を開いた。


「ん?」


泣きやみ、落ち着いた様子の美花は小首を傾げる。


「あのさ…幸せって何だと思う?」


「えー…」


唐突過ぎる質問と、その内容に美花は明らかに困った顔をした。


「私、美花が居なくなってから、幸せって何なのか分かんなくなっちゃって…。お父さんにも、“幸せとは何?”っていう課題を与えられちゃって」


えええっ、と美花は目を左右に動かし、明後日の方向を向いた。


「んー、私の考えでいいなら言うけど…」

数分後、何故か真上を見ながら美花はそう言った。


「お願い、言って」


私は頼み込み、美花は渋々といった様子で答える。
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