幸せを探して
「私の幸せは、美空の幸せなの。…死んじゃってからさ、“今、幸せ”ってあまり思わなくて…。本当は、もっと生きていたかったから」


美花は、少しだけ悲しそうに声のトーンを下げた。


「だからさ。美空、笑って?」


すぐに美花は手本になるような笑顔を見せ、こちらを向いた。


「私は、心から笑えたら幸せだって事だと思うから」


(笑ったら、幸せ…。私の幸せは、美花の幸せ…。2人で1つ…。)


美花の言葉と、それに込められた優しく、切なく、深い意味。


それぞれの言葉が、意味が、すんなりと私の中に入っていく。


それと同時に、私の疑心暗鬼だった暗い気持ちを溶かしていく。


「分かった、かな…?私的に、幸せってこんな感じだと思うけど…」


心配そうな顔を見せる美花に、私は微笑んでみせた。


「大丈夫。お父さんにも言ってみるね。ありがとう!」


美花は笑顔で頷いた。



その途端、美花の姿がゆらゆらと揺れ始めた。


(あれ…私、泣いてる?)


慌てて目元を触ってみるも、濡れている感覚は無い。


それよりも、瞼が重い。


目が、開けられない…。



しきりに目を擦っていると、


「美空、眠いでしょ」


と、美花が声を掛けてきた。


「だって…夢だから、眠くならないはず…」


私はあくびをしながら答える。
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