幸せを探して
睡魔が忍び寄っていることを、認めたくなかった。


「美空、眠かったら寝てもいいんだよ」


美花がそう言ってくれるけれど、私は首を振った。


「だって…夢なら…」


「美空、夢はいつか覚めるものなんだよ」


美花が私の言葉を遮る。


「今、美空が寝たから夢が覚めるって限らないでしょ?」


「でもっ…」


あくびを噛み殺した私は、涙目で美花を見る。


「せっかく美花が居るんだから…まだ寝たくない…」


「だけど、もう2:30だよ?」


美花が時計を指さし、笑う。


「今、深夜だよ?眠くなるのは当たり前だよ」


「でも、夢だからっ…!」



今、せっかく美花が目の前に居るのだ。


このまま夢が覚めてしまったら。


美花の居ない世界に戻ってしまったら。


(嫌だ、戻りたくない!)



私は首を振って拒否をする。


「だって…夢から覚めたら、美花が居ないんでしょ…?そんなの、嫌だよ…」


「でもこの1年間、私が居なくても大丈夫だったでしょ?」


美花に核心をつかれ、私はゆっくりと頷く。


「私は、もう美空と一緒に居れないの。…でも、ずっと傍に居るから。安心して」


今にも泣きそうな私とは違って、美花は笑みを浮かべている。
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