幸せを探して
私は左側のページに書き、美空は右側のページに書くというルールがあったから。


私がやっておきたかった事。


その1つに、“交換日記を書くこと”


という事があった。


交換日記といっても、ただ今日の出来事を書くのではない。



きっと、肉体をもって美空の元に現れられるのは、今日が最初で最後だろう。


矛盾しているかもしれないけれど、私は、私が今日この世界に来れた事を“夢”として終わらせたくなかった。


どうせなら、現実に残るような証拠を残しておきたい。


その証拠として、交換日記に美空宛の手紙を残しておきたいのだ。


美空が、また自分を責めそうになった時。


私が今から書く、最初で最後になるだろうこの手紙を読んでほしい。


私の手紙が読まれるのが、いつになるのか分からないけれど。


書きたいことは、沢山ある。


(今日言った事も、忘れずに書こう)


美空がまた忘れて、首を傾げて悩む事が無いように。


私は茶色のペンを握りしめ、ゆっくりと字を書いていった。



『美空へ』


双子の姉に今から手紙を書くと思うと、自然と笑みがこぼれる。


私は、美空に伝えたい事をそのまま言葉にしていった。


言いたい事を整理し、分かりやすく。
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