幸せを探して
早くに死んでしまったけれど、13年間生きた事に変わりはない。


私は死んでもなお、美空の事を傍で応援し続けてきた。


一緒になって、悲しんだ。


見えないところでこれほど姉の事を思っているのに。



忘れ去られてほしくない。



ずっと、この思いを胸に秘めてきた。


私が生きていたという証拠を、無くしてほしくなかった。


けれど私の事を思い出すと、美空は泣いてしまうから。


雪を見ると、尚更苦しくなってしまうから。


そんな美空を見て。


美空の為に、私の存在を消してほしかったけれど。


1番望んでいた私が、それを受け付けなかった。


姉の記憶から忘れ去られたら、妹の私は何をすればいいというのか。


私の事を忘れている人の隣にいても、いい事なんて無い。



(そうだったんだ…)


自分の涙の意味を知った私は、声を立てずに泣き崩れる。


この感情を、どう表現すればいいのか分からない。


ただ、ずっと自分で自分の首を絞めるような行為をしていたことは、身に染みて分かった。



だから、涙を拭った私は、ペンを握り締めてこう付け足す。


『やっぱり、私の事は思い出して下さい』


と。
< 201 / 248 >

この作品をシェア

pagetop