幸せを探して
それから20分後。


泣いたり書いたりを繰り返した私は、ようやく手紙を書き終えた。


合計5ページになった手紙。


『美花より』


最後の言葉を書き終えた私は、


「終わったー!」


と大きく伸びをした。


時計を見ると、時刻は2:55。


あと20分しか時間は残されていない。



(次は、流美とお母さんに会いたいな)


私のやっておきたかった事のもう1つは、家族の顔を見る事だった。


お父さんは単身赴任中だけれど、お母さんや流美には会える。


私は交換日記を閉じ、先程と同じように美空の机に置いておいた。


茶色のペンも添えて。



そして、私は音を立てずに美空の部屋を抜け出し、隣の部屋へと向かった。


私の記憶が正しければ、隣の部屋には流美とお母さんが寝ていたはず。


私はそっとドアを開き、中をのぞき込む。


そこには2つ布団がひかれていて、お母さんと妹が毛布にくるまって眠っていた。


「お母さん…」


久しぶりに見るお母さんの顔は、何だか少し老け、やつれたように感じた。


私が死んだからだろうか。


それとも、ストレスだろうか。


それとも、ただ単に歳をとっただけなのだろうか。


まるで、幼い流美を守るように寄り添って寝ている姿に、私は心打たれた。
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