幸せを探して
「ねえ美花、今日の髪の毛どうしようか?」


くしを先に取った私は、前髪を整えながら美花にそう尋ねる。


「今日、雪降るって!寒そうだからハーフアップにしよう?」


私の手からすかさずくしを奪い取り、何食わぬ顔で髪の毛をとかしながら美花が返事をする。


「…髪の毛、おろさない?」


仕方なく手ぐしで髪の毛を整えながら、私はそう突っ込む。


「寒くなったらおろせばいいんだし!」


美花は鏡越しに私を見ながらそう言った。



私達家族は雪が大好きだ。


ここは雪国なので、幼い時から雪に触れる機会が多かったからなのかもしれない。


スキーには毎年必ず5回は行っていたし、クリスマスは雪を見ながら過ごすのが定番だった。


幼い頃の私達は、暇さえあれば外へ出た。


風邪をひくのもお構い無しに、雪だるまやかまくら作りに専念したものだ。


その後私達は2人でハーフアップに揃え、色違いのリュックを背負って学校へと向かった。


今日は学校の研究会なので、午前中のみの授業だ。


「よっしゃ!学校早く終わるー」


私の隣を歩く美花はガッツポーズを決めながら、その手で木に降り積もった雪を落としていた。


雪は午後から降ると言っていたけれど、一応傘を持参している。


数日前にも雪が降ったので、道には雪が積もり、ところどころ凍結していた。
< 21 / 248 >

この作品をシェア

pagetop