幸せを探して
『美空。

私は、翔平君のニゲラの花束のおかげでこっちの世界に来れた。

その時、こっちの世界に来る時のルールがあって。

本当なら、2時間の間夢の中で会えるはずだったの。

だけどルールが変更になって、2時間の間現実でも会えるようになったんだ。

もちろん、肉体を貰って。

私は現実で会うことを選んだ。

夢の中で会うと、いずれ私と会ったっていう記憶が消えてしまうんだって。

それは、嫌だから。


私は、美空が誰かに相談できる日が来るのをずっと待ってた。

美空が自分で“幸せ”を肌で感じられる日が来るのを、ずっと待ってた。

私じゃ、何も出来ないから。


現実でも、美空が私と会ったって事を忘れないように、こうやって手紙を書こうと思ったんだ。

だから、私からの最初で最後の手紙、最後まで読んで下さい。


まず、最初に。

美空、苦しませてごめんね。

私が死んだから、美空は沢山苦しんでた。

私、ずっと隣で見てたんだよ。

慰めてあげたかった。

私が代わりに泣くから、苦しむから、それで美空の心が少しでも軽くなればって思った。


いっそのこと、また生き返れないのかなって思った。

どうしてあんなに早く死んじゃったんだろうって、自分を責めた。

こんな事になるなら、美空ともっと話したかった。
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