幸せを探して
沢山沢山、思い出を作りたかった。

美空が悲しむくらいなら、私がそれ相当の罰を受けたかった。

でもね、そんな事出来なかったの。

ううん、そんな事しても、意味がなかった。

私がどれだけあの世で泣いても、叫んでも、謝っても、美空の耳には届かないって知ったから。

だから、私は美空の隣で美空を見るしかなかったの。

何も出来ない自分が凄く悔しかった。

この手で、美空を抱きしめてあげることも、近くで美空の悩みを聞く事も出来ない。

美空、雪を見て倒れたりしたよね。

ずっと、私の名前を呼び続けて。

私はここに居るよって、伝えたかった。

自分の記憶と闘って、いつも泣きそうになってる美空の姿、私はずっと見ていたよ。

笑う事も出来なくなったよね。

“楽しい”とか、“喜ぶ”とか、そういう感情も感じなくなっていたよね。


ずっと、嘘をつき続けていたよね。

全部、知ってたよ。


だけど、昨日の放課後、美空は変わった。

私がいない間に、愛来や陸人や翔平君に自分のことを打ち明けたよね。

愛来達も、美空に悩んでる事を打ち明けてた。

それって、美空の事を信じてるってことだよ。

凄い事だと思う。

美空は、自分の事を責めていたけど、本当はそんな事しなくても良かったの。
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