幸せを探して
しばらく歩いて学校に着き、私達はそれぞれのクラスに別れた。


私は1-3、美花は1-2だ。



教室に入ると、愛来が満面の笑みで声をかけてきた。


「おはよう、待ってたんだよ?」


「おはよう、今日雪だって!」


雪が好きな私は、雪が降ると分かると誰彼構わずそう報告してしまう。


愛来は、知ってるよ、と頷き、私の隣の席の椅子に座った。


「美空達双子は、本当に雪が好きだもんね」


私は笑いながら愛来の目をじっと見つめた。


愛来は元々目が悪く、コンタクトを付けている。


愛来のコンタクトの度が強いのと、光との関係もあって、近くで見ると青く見えるのだ。


「…美空、飽きないね」


愛来が呆れたように首をすくめて見せたが、私はそのまま愛来の独特な目の色を見つめ続けていた。


どの色を混ぜても出来ないような青色の瞳。


綺麗で、誰も真似出来ない瞳。


本当に、飽きなかった。



そのままの体勢でしばらく見つめ合っていると、急にドンッと愛来が座っている机の上にスクールバッグが置かれた。


「おい橘、何勝手に俺の椅子に座ってんだよ」


ドスの効いた声が耳にこびりつく。


(え?)


(誰だろう)


そう思って見上げると、長身でチャラそうな雰囲気をかもし出す高橋 陸人(たかはし りくと)が立っていた。
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