幸せを探して
『それから、“幸せ”について。

美空に言ったと思うけれど、私が考える“幸せ”は、心から笑えた時だと思うんだ。

もしかしたら、テストで良い点を取れた時とか、ずっと欲しかったものを買えた時とかに幸せを感じるかもしれない。

だから、笑う事とは関係ないと思うかもしれない。

でも、結局はそれって、笑っていると思うんだ。

真顔で喜ぶ人なんて居ないと思うし、怒りながら喜ぶ人も居ないと思う。

皆、笑って喜びを表現すると思うんだ。

嬉し泣きって、嬉しくて、感動して、笑う事を通り越してしまった涙の事でしょ?

きっと、その涙を流せる人も幸せだと思う。


美空は、私が死んでから笑わなくなったよね。

笑えなくなったよね。

私、その姿を見て凄く苦しくなったんだ。

美空が笑えなくなったって事は、幸せじゃ無かったってことだと思う。

美空、その時明るい感情も分からなくなっていたよね。

“嬉しい”とか“楽しい”とか、人と共感する事も出来ていなくて。

いつもいつも、クラスメイトが喜んで笑っている姿を遠くから眺めていたよね。

翔平君が転入してきた時も、自分の過去が知られるのを恐れて、翔平君を避けていたよね。
< 224 / 248 >

この作品をシェア

pagetop