幸せを探して
雪の日は、美空はずっと下を向いて歩いていたよね。

私が生きていた頃は、雪の日こそ楽しんで登校していたのに…。

雪を見たら、学校でも倒れかけていて。

ずっと、保健室通いだったね。


本当に、ごめん。

事故に遭った直後の、あの赤い雪と重なってしまうなんて。

私は、死んでも普通に雪を見れたのに。

たまに、苦しくなってしまうけれど。

でも美空は、それ程優しいって事だと思う。

雪を見て苦しんでいたのは、私の事を思い出して、あの時の自分の行いを後悔していたんじゃない?

いくら望んでも過去は変えられない。

どんなに願っても、過去は1秒たりとも変えることが出来ない。

でも、その経験があるからこそ、未来に繋げられるんじゃないかな?


でも、実際の美空は、昨日の放課後に愛来達に打ち明けたよね。

凄く嫌がって、怖がっていたのに。

知られることを恐れて、皆を敵に回していた。

けれど、意を決して話してみると、違っていたでしょ?

皆、美空の言葉に耳を傾けて、必死に美空の思いに寄り添おうとしていた。

美空が泣いても慰めてくれて、それ以上に涙を流してくれる愛来が居たよね。

美空がまた自分の殻に閉じこもらない様に、雪を見させる事で自分の過去と向き合う時間をくれた、陸人が居たよね。
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