幸せを探して
その格好のまま動かなかった私は、しばらくして起き上がり、目を擦って交換日記を手に取った。


まだ手紙は続いていた。


『美空、私だけを頼りにしないで。

私に話し掛けても、きっと私の声はそちらに届かない。

だけど、美空には仲間がいるでしょ?

愛来や、陸人や、翔平君。

過去の辛い出来事を共有したんだから、きっと良い相談相手にもなってくれると思う。

本当は、私も皆と話したいんだ。

愛来と陸人とは、今までも数え切れない程話していたけれど、翔平君とは話した事がないから。

私と美空がこうして会えたのも、翔平君があのニゲラの花束を美空にくれたからだよ。

今度翔平君に会った時、私からもありがとうって言っていたって伝えてくれるかな?

怪しまれるかもしれないけれど、そこはさ。

お姉ちゃんらしく、フォローしておいて!(笑)


もう、私がこの世にとどまれる時間はあと少ししかなくなっちゃったな。

2時間もこちらの世界に居られるって知った時、凄く嬉しかったのに。

時間が経つのって早いんだね。

あの世に居た時は、遅いと思っていたのに。

もっと、居たかったな。

出来ることなら、ずっとこちらの世界で美空と話していたかった。

話した時間は少なかったけれど、会えなかった1年間分を少しだけ取り戻せたような気がするよ。
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