幸せを探して
後から後から、美花への感謝の気持ちが溢れてくる。


「ありがとう、美花………ありがとうっ…」


嗚咽を漏らしながら、やっとその言葉を口にする。


隣から、

『どういたしまして、美空!』

と、美花の明るい声が聞こえた気がした。



気が付くと、私の涙は交換日記に落ち、美花が書いた文字をうっすらと滲ませてしまっていた。


(あっ!)


私は、慌てて何枚ものティッシュを総動員して、濡れた箇所を丁寧に拭いていく。


美花からの手紙。


1文字たりとも、汚したくなかった。


濡れた場所を拭き終わった私は、何とかしてまだ流れてくる涙を押し止め、机に向かった。



美花宛に、私からの手紙を書きたかった。


美花が本当に読んでくれるのかは分からない。


今はただ、この思いを文字として綴りたかった。


椅子に座った私は、美花が使ったであろう茶色のペンを手に取る。


美花が亡くなる直前に書いたページを開き、右ページに日付を書く。


出来るだけ、1ページで収まるように簡潔にまとめたい。


その一心で、私は文字を書いていく。


言葉を考える間もなく、手が勝手に動き、すらすらと文章を綴っていく。


美花の思いに応えられるように。


今の私の、最大限の語彙力を使って。


私は、美花の為に手紙を書いていく。
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