幸せを探して
けれど、心から笑えた時が幸せなんだね。

私はこの1年間、笑えなかった。

笑う事を忘れて、その代わりに嘘をつく事を学んだの。

嘘をついて作り笑いを貼り付ければ、誤魔化せるんだって、気付いたの。

笑えなかったから、明るい感情が分からなくなった。

すると余計に、笑えない自分が苦しかった。

自然に笑おうと思っているのに、意識して口角を上げないといけなくて。

面白い事を聞いても、何故か笑えなくて。

泣きたいくらい、悔しかった。


だけど昨日の放課後に、私は変われた。

初めて、きちんと笑えたの。

それって、幸せってことなんだよね。

私は、幸せになってもいいんだね。

ねえ、美花?

私が幸せになったんだから、美花も幸せになっていいんだよ。

美花も、ずっと苦しかったんじゃない?

私がいつまでも変わらないから。

けれど、もうその苦しみを感じなくても大丈夫。

私は、幸せだから。


美花の思いは、ちゃんと私に届いたから。

美花も安心して、笑顔になって。

私達は2人で1つだから。

美花の幸せは、私の幸せだから。

美花、今までありがとう。


美空より』



私はまた泣きそうになりながら、自分で書いたばかりの手紙を読み返した。


きっと、美花もこうして読み返したのだろう。
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