幸せを探して
私が美花に会えたのは、あの花束を斎藤君がくれたから。


夜に、走ってまで届けに来てくれたから。


私は笑顔で頷いた。


「…良かった」


斎藤君も頷き、また勉強に戻っていった。



その日を境に、平日の朝、私達4人以外のクラスメイトが教室に入ってこない7:40から約20分間の時間は、私達だけの教室になった。


大抵7:40頃に4人とも揃い、やる事はほぼ同じ。


陸人と斎藤君は勉強をし、私と愛来は後ろのスペースを使って柔軟をする。


けれど、制服姿での柔軟は難しい時がある。


そんな時は、私と愛来は世間話等をして盛り上がっていた。


陸人がギフテッドだという事実を私達4人は知っている為、陸人はリラックスして難しい問題を解くことが出来た。



ある日の朝は、


「…だから、ここの式は分配法則を使って、こうやって…」


と、陸人が黒板に式を書きながら、私達に数学を教えている。


「え、でもさ、この部分はどうやるの?」


斎藤君と共に黒板を見ていた愛来が立ち上がり、黒板を指さして質問をする。


「だから、分配法則でこうやるって言ったばっかじゃん。ちゃんと聞いてたー?」


先生になりきった陸人が、わざとらしく胸を反らして確認する。
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