幸せを探して
エピローグ
もう雪はほとんど溶け、暖かい季節がすぐそこまでやってきた。


開けていた窓から、早くに咲いた庭の桜の花びらが舞い込む。


桜と共に入って来た春風は、私の机に置かれた交換日記のページをめくった。


桜の花びらは、日記が書かれた中で1番新しいページに舞い降りた。


それはまるで、川本家に新たな季節の到来を知らせる様に。


『3月22日(木)

美花へ


明日は修了式!

いつもの様に学校へ行ったら、なんとなんと、

斎藤君に告白されました…!


私達、お互いに辛い過去を持っているっていう共通点がある。

転入初日、斎藤君も私を見て“同じだ”って思ったんだって。

今まで何が同じか分からなかったけれど、今では分かる。

辛い過去を持っていて、それを共有出来た事が同じなんだよね。

美花、私は今幸せだよ!

斎藤君に告白されて、凄く嬉しい!

だから、美花も幸せになって。

また今度、ニゲラの花束を枕元に置いて寝てみようかな。


私達は2人で1つ。

私の幸せは、美花の幸せ。

また、会いに来てくれる事を信じてる。


美空より』
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