幸せを探して
「私、美空と双子でほんとに嬉しいよ……ごめんね、約束破っちゃうな」


約束とは、きっと


『生まれた時から一緒なんだから、死ぬ時も一緒だよね!』


だろう。


「私達は、2人で1つだよ…忘れないで、ずっと傍にいるから……大好き」


何度も何度も聞かされたその台詞。


忘れない様に、忘れさせない様にと、私の目だけを見続けて、美花は訴える。


「私もだよ、美花……2人で1つね、忘れるわけないじゃん…」


私の声は震えていた。



「…流美…いる…?」


私達の妹の名前を、美花は呼んだ。


「…今は他の部屋で寝てるの…だから私が伝えるわ、何、美花?」


涙を拭きながらお母さんが聞く。


「流美、大きくなったら…私のこと覚えてないと思うんだ……でも、私のこと話してあげてね」


やっぱり、覚えててもらいたいから…、と、美花は呟く。


「もちろんよ、美花」


「……ありがとう、皆……」


美花はうっすらと微笑みを浮かべた。


微かにえくぼができる。



それが、美花の最期の言葉だった。



皆の息遣いが聞こえる程静まり返った病室に、


ピーッと心電図の音が響き渡る。



それは、美花が亡くなったことを告げていた。


(何、何?…嘘でしょ、有り得ない)


(美花、死んだの…?私を置いて?)


(そんなの、嫌だ…!)
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