幸せを探して
「嫌っ……美花、目を開けてよ……」


再び私の目から滝のように涙が溢れ出す。


「ねえっ、ねえってば!………お願い、返事してよ…」



永遠に叶わない願い。


美花が目を開けることは無かった。


私は泣きじゃくった。


「嫌だ…嫌だよ、美花!私を置いて逝くなんて……反則だよ………」


「美空…落ち着いて…」


まだ温かい美花の身体を抱き締め、小さな子供のように嗚咽を漏らしながら泣き叫ぶ私を、お母さんが引き離そうとする。



それから、私達は夜通し泣き続けた。


他の部屋で寝ていた流美も途中から起きてきて、一緒になって泣いた。



それから少しして、入院していた私は偶然お医者さんが親に話していた事を、盗み聞きしてしまった。


まず、美花はあの怪我からして、救急車が来る前に亡くなった可能性が高かったこと。


けれど、何らかの幸運が重なった奇跡が起き、美花は数時間後まで生きていられたこと。


救急車が到着に時間がかかったのは、積雪の為、遠回りをしなければいけなかったから。


もし救急車が10分でも早く現場に着いていれば。


大怪我を負い、亡くなる可能性が高かった美花の助かる可能性は大いにあったということ。


そして、私の為に命を懸けてでも助けようとした美花の行動は、とても勇敢だということ。
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