幸せを探して
それから目まぐるしく時間が過ぎ、美花の葬儀が終わった。


入院していた私は、もはや魂の抜け殻のようになっていた。


私が追いかけた美花の傘は、無残な姿であの道に落ちていたという。


見たくもなかった。


美花を死に追いやった物など。


雪を見る度に泣き叫び、赤いものに雪が降り積もるのを見ただけで失神する日々。


笑うことを忘れ、幸せとは何か分からなくなった。


食べ物の味も分からなくなった。


楽しい感情は凍結し、全くと言っていいほど分からなくなった。


大きなストレスとショックで、精神状態も安定していない時期もあり、常に心ここに在らずといった状態。


いつもの明るい私は消え失せた。


私の時は止まった。


皆の時間は動いている。それなのに私の時間は、美花が亡くなってから動かない。


自分だけ、同じ場所に立ち止まっているような感覚だ。


周りは暗闇で、何も見えない。



私が家にいると、親は悲しそうな顔をする。


私があまりにも美花に似ているから。


本当にごくたまに、


「美花」


と間違われて呼ばれる事もあった。


その度に私は、泣きたいのを堪えて


「私は美空だよ」


と言う。


本当にそれが辛かった。
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