幸せを探して
沢山の人が知っていたら、質問攻めにあってしまうから。



それなのに…。


「川本…俺、全部知ってる」


そうやって言われたのは、私が学校へ通い始めてからすぐの事だった。



「川本…俺、全部知ってる」


「えっ…?」


ある日の放課後。


私は陸人に教室へ呼び出されていた。


(告白なんてものじゃない)


陸人の苦しそうな、悲しそうな表情を見れば、すぐに分かった。


といっても、今の私に告白されても振るだけだけれど。


私はリュックを机に置き、ポケットに手を突っ込んでいる陸人を見つめた。


「だから、俺、全部知ってる」


「何を…?」


極力人と話す事を避けたい。


その思いは、陸人に伝わっているのだろうか。


陸人はもどかしそうに頭を掻き、ためらいがちに口を開いた。


「あれだよ…事故のこと」


「っ…!?」


(何で、何で陸人が…?)


(隠してたのに!誰にも話さないように、先生にも言っておいたのに…!)


たちまち、感情が溢れ出しそうになる。


「…どうして、知ってるの?」


私が、何とかして感情を抑えた問い。


陸人はかなり時間をかけてから口を開いた。
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