幸せを探して
「もう、全部どうでも良くなったの」


私は隼人君の目を見る。


その、澄んだ目を。


「…美花が死んでから、何で生きてるのかも分からなくなって」


そう。


1度は、死ぬ事さえ考えた。


美花の居る世界へ行けるなら、と。


けれど、私は弱い。


考えても、行動できなくて。


だからといって、生きる理由も無くて。


幸せすら、見つからなくて。


「幸せすら分からなくて…お父さんの願いも、叶えられなくて…」


自虐的に吐き出した言葉。


「こんな私が、生きる意味はあるの…?」


きっと、無い。


ずっとずっと、過去に囚われたままの私を、誰が必要とするのか。


「美空ちゃんっ!そんな事言わないで!」


無意識に握りしめていた私の両の拳を、隼人君の手が掴む。


「そんな事、絶対に言わないで!」


あまりにも力強い声に、私はたじろぐ。


「美空ちゃんには、生きる価値があるんだ。理由があるんだ。…ただ、それを見つけられていないだけで」


私は黙って隼人君の言葉に耳を傾ける。


「俺だって…事故に遭った約1ヶ月後に目が覚めて、自分の置かれた状況を理解した時、正直、はっ?ってなったよ」


隼人君は苦笑する。
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