幸せを探して
「だってさ、足が動かないんだよ?…スポーツもできなくなったし、学校だって…」


「えっ、高校…」


私の問い掛けに、隼人君は慌てて答える。


「ああ、たまに行ってるよ。たまにね」


そう言いながら、隼人君は自分の足を見つめる。


「あんなに頑張ってリハビリしてるのにさ…全然力も入らない…それに、皆に迷惑かけてばっかりだし」


私は何も言えなかった。


隼人君のその表情からは、何も読み取れない。


「でもね」


隼人君の声が明るくなった。


「1ヶ月間生と死の瀬戸際にいたのに、またこっち側に戻れたのって、何か理由があると思うんだ」


綺麗事だよね、と隼人君は笑う。


「正直、その理由は見つけられてないけど…見つける為に生きてるのかもね、俺」


だって、見つける合間に人生楽しんでるしね!と隼人君はケラケラと笑った。


(隼人君は、やっぱり強い。楽観的に捉えることなんて、きっと私には出来ない)


私はぼんやりと考えていた。


そして、自分を否定し続ける。



「え?俺が、強い?」


隼人君のきょとんとした声が病室に響く。


どうやら、心の声が漏れてしまったようだ。


「えっと…」


私は、愛来が言っていたことをそのまま口に出す。
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