幸せを探して
あれから

第2章

私が隼人君の病院へ1人でお見舞いに行ってから、1ヶ月が経った。



私と斎藤君はあの日以来、ほぼ言葉を交わしていない。


あの日の事も話題に出されていない。



でも斎藤君は体調も良くなり、徐々にクラスに慣れ、一番の友達―親友―は陸人になった。


陸人と斎藤君は、昔からの付き合いのようにお互いがしっくりと馴染んでいった。


陸人は、自分の特殊な能力―ギフテッド―について打ち明け、斎藤君もそれをすんなりと受け入れたらしい。



そして私は、変わらずに愛来と行動を共にしている。


そして、2週間後に控える学年末テストという最大の難関に向けて、勉強漬けの日々を送っている。



きちんと笑えない生活。


明るい感情が麻痺して、今楽しいのかさえ疑問に感じる生活。


そんな私が唯一変わった事といえば、この頃雪を見る回数が多くなり、それと並行して保健室へ行く回数も多くなった事だ。



今日は大丈夫。


雪を見ても大丈夫。


そう決心して雪を見ても、結局は気分が悪くなるだけだ。


ほぼ毎日、保健室へ向かう私を見る友達の目が痛かった。



中村先生も、私の症状が精神的に起こっているということを知っている。


だからこの頃は、ベッドで寝るよりも世間話をしたりして盛り上がっている。


そのうち、私の気分が徐々に落ち着く事を知っているから。
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