幸せを探して
この苦しみを、私は家族とすら共有したことが無い。


お母さんとお父さんの方が私よりも悲しんでいるのを知っているから。


それを思うと、家族にまた苦しんでほしくなくて。


だから、私は心の中に悲しみを溜め込む。


人に言う勇気も、出なくなってきた。


けれど、家族よりも私の方が美花と過ごしてきた時間は長い。


だから、悲しみは両親の方が強いけれど、苦しみや辛さは私の方が数倍上だ。


それに、私は両親よりも妹の変化に敏感に気づくことが出来ていたと思う。


何しろ、私たちは生まれてからずっと、行動を共にしてきたから。


親には言えない話だって、美花となら素直に話すことができた。


それなのにどうして、神様は美花を選んだの…?


選ばれるべき人は、私のはずだったのに…。


私が、死ぬはずだったのに…。


行いが悪かったのは私なのに…。


美花は私には無いような長所を沢山持っていたのに…。


ねえ神様、美花のどこがいけなかったんですか……?


私が、私が…。


どうして美花は、私の盾になったの…?


こんな辛い思いをするくらいなら、私が死にたかったよ…。


「…選ぶなら、私を選んで欲しかった」


「どうして私じゃないの…?」
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