幸せを探して
私は自分の部屋のドアを音を立てて閉め、その場にうずくまった。



今までついてきた嘘の数々。


先程の斎藤君との会話で思い知らされた。


私は、嘘をつくことすら限界を超えていることに。


これほど嘘をつき続けると、まるで本当のことのように錯覚してしまう。


“この嘘がばれないうちに”


なんて、お気楽なことを言っている余裕もなくなってきた。



「何でっ…」


もう、何もかもが分からなくなった。


いつまでも変わらない私が、嫌になった。



私は立ち上がり、ベッドへ倒れ込んだ。


そのまま枕を顔に当て、ありったけの力で叫んだ。


私の叫びは、言葉にならなかった。


言葉にならない代わりに、私の心を写し取っていく。


また涙が出てくる。


私の涙は頬を伝うことなく枕へ染み込む。



私は泣き続けた。


夕飯も食べずに、ただひたすら。


泣けば変わるとでもいうように。


この世がそんな優しい世界だったらどれほど良いだろう、と泣きながら考えた。


私は寝落ちしてしまうまで、制服のままで、肩を震わせ、嗚咽を漏らしながら泣いた。


泣き続けた。



こんなに苦しく、辛い思いは誰にも理解できない。


隼人君や愛来にだって、全てを打ち明けてはいないのだから。


そう、考えていた。
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