別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
ゴロゴロしながら、結局起きたのは10時過ぎ。

コーヒーを飲んで、秋はトーストを食べる。

私は、もうお昼になるから朝と昼で兼用にすると言ってコーヒーだけにしたけど、やっぱり胃が痛い…

こういう時にコーヒーはよくないんだろうか。

「どこに行くの?」

「着くまで内緒」

いたずらに笑ってみせると、秋は訝しげな顔をした。


地下鉄に乗って数分。そこからJRの駅に移動して20分。

「…そっか。懐かしいな」

秋はどこへ向かっているのか途中で気づいたようで、ぽつりと呟いた。

車窓に姿を現した大きな建物に、目を細めて懐かしそうにしている。

私が行きたかった場所。それは私と秋が通っていた大学だ。

駅からは歩いてほんの数分の距離、大きな門をくぐれば、広いキャンパス内にいくつもの棟が立ち並んでいる。

当時と建物は変わらないけど、今こうしてみるとずいぶんデザイン性が高い近代的な雰囲気だ。

土曜日なのに意外と学生が来ていることに驚いたけど、そのほうが紛れ込みやすい。

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