別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
暗い部屋で抱き合うのが好きだ。
余計なことを全て忘れて、秋の温もりを堪能できるから。
この世界に私たちふたりしかいない。
そんな不思議で幸せな感覚に包まれるから。
キスの雨を全身に降らせながら、秋は時折甘い吐息を漏らす。
「加奈…」
大好きな声が私の名前を呼ぶ。
微かに語尾が掠れる、やわらかくてやさしい声。
「秋…」
「加奈…」
「もっと、名前、呼んで…」
「加奈…加奈」
今夜はいつもよりもずっと身体が敏感な気がする。
秋が名前を呼んでくれるだけで、身体の奥底が疼いて快楽の波が襲ってくる。
頭が真っ白になるたびにやさしいキスを落としてくれる秋が愛おしくて、逞しい腕をぎゅっと掴んだ。
「…ねえ、秋…」
「ん?」
『別れる前にしておきたいこと』
真っ先に浮かんだのに、最後まで悩んだのもこれだった。
いいよね?聞かせてほしい。
5年間、一度も言ってくれなかった言葉を。
上がった息をそのままに、秋の瞳をじっと見つめた。
「…私のこと、あいしてる…?」
「…どうしたんだよ、いきなり」
恥ずかしそうに笑ってごまかそうとする秋の頬に手を当てた。
「…教えて」
「加奈…?」
戸惑ったように秋は呟いて、それから少しして微笑んだ。
肘をつき、さっきよりもずっと近い位置で私の目を見つめ、髪をなでながら。
秋はやさしく囁く。
「…あいしてるよ」
人生で一番幸せだと思った。
この言葉を一生耳の奥に焼き付けて、何度も何度も記憶の中で再生できたらいいのに。
涙が零れだしたけど、それが見えないように秋の背に手を回して抱きしめた。
やりたかったこと。
ちゃんといっぱい叶ったよ。
秋、愛してくれてありがとう。
ひとつに溶け合った身体はとても温かくて、きつくきつく抱きしめ合った。
「あ、き…」
「…っかな…」
今この瞬間に世界が終わってしまえばいいのに。
本気でそう思った。
余計なことを全て忘れて、秋の温もりを堪能できるから。
この世界に私たちふたりしかいない。
そんな不思議で幸せな感覚に包まれるから。
キスの雨を全身に降らせながら、秋は時折甘い吐息を漏らす。
「加奈…」
大好きな声が私の名前を呼ぶ。
微かに語尾が掠れる、やわらかくてやさしい声。
「秋…」
「加奈…」
「もっと、名前、呼んで…」
「加奈…加奈」
今夜はいつもよりもずっと身体が敏感な気がする。
秋が名前を呼んでくれるだけで、身体の奥底が疼いて快楽の波が襲ってくる。
頭が真っ白になるたびにやさしいキスを落としてくれる秋が愛おしくて、逞しい腕をぎゅっと掴んだ。
「…ねえ、秋…」
「ん?」
『別れる前にしておきたいこと』
真っ先に浮かんだのに、最後まで悩んだのもこれだった。
いいよね?聞かせてほしい。
5年間、一度も言ってくれなかった言葉を。
上がった息をそのままに、秋の瞳をじっと見つめた。
「…私のこと、あいしてる…?」
「…どうしたんだよ、いきなり」
恥ずかしそうに笑ってごまかそうとする秋の頬に手を当てた。
「…教えて」
「加奈…?」
戸惑ったように秋は呟いて、それから少しして微笑んだ。
肘をつき、さっきよりもずっと近い位置で私の目を見つめ、髪をなでながら。
秋はやさしく囁く。
「…あいしてるよ」
人生で一番幸せだと思った。
この言葉を一生耳の奥に焼き付けて、何度も何度も記憶の中で再生できたらいいのに。
涙が零れだしたけど、それが見えないように秋の背に手を回して抱きしめた。
やりたかったこと。
ちゃんといっぱい叶ったよ。
秋、愛してくれてありがとう。
ひとつに溶け合った身体はとても温かくて、きつくきつく抱きしめ合った。
「あ、き…」
「…っかな…」
今この瞬間に世界が終わってしまえばいいのに。
本気でそう思った。