別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
秋は午後から休日出勤で、その前に瑞樹くん――菜乃の旦那さんと少し会う約束をしている。
横浜に住んでいる瑞樹くんは、今日仕事の用事で都内に来ているというのだ。
私を含めて3人で会う提案をされたけど、幸せな結婚生活を送っている瑞樹くんに、心から笑って話ができる気がしない。
すでに別の友達と遊ぶ約束をしていると言って断った。
駅に送ってもらう道、運転する秋の見慣れた横顔を少し盗み見る。
これももう最後。
「一緒に会えなくて残念だったな」
「うん、瑞樹くんによろしくね」
「次は菜乃ちゃんも含めてみんなで会いたいな」
「その頃は赤ちゃん産まれてるね」
「そうだな。瑞樹、張り切ってるみたいだし、子煩悩なパパになりそうだな。
出産祝いも考えておかなきゃな」
…ほら。こんな話も、もう叶わない。
駅までは車だとほんの数分で、たいした会話をする暇もなくあっという間に着いてしまう。
渋滞して車が動けなくなってしまえばいいのに。
そしたらもっと秋と一緒にいられるのに。
そんな微かな願いが神様に届くわけもないし、今さら願うのも愚かだ。
横浜に住んでいる瑞樹くんは、今日仕事の用事で都内に来ているというのだ。
私を含めて3人で会う提案をされたけど、幸せな結婚生活を送っている瑞樹くんに、心から笑って話ができる気がしない。
すでに別の友達と遊ぶ約束をしていると言って断った。
駅に送ってもらう道、運転する秋の見慣れた横顔を少し盗み見る。
これももう最後。
「一緒に会えなくて残念だったな」
「うん、瑞樹くんによろしくね」
「次は菜乃ちゃんも含めてみんなで会いたいな」
「その頃は赤ちゃん産まれてるね」
「そうだな。瑞樹、張り切ってるみたいだし、子煩悩なパパになりそうだな。
出産祝いも考えておかなきゃな」
…ほら。こんな話も、もう叶わない。
駅までは車だとほんの数分で、たいした会話をする暇もなくあっという間に着いてしまう。
渋滞して車が動けなくなってしまえばいいのに。
そしたらもっと秋と一緒にいられるのに。
そんな微かな願いが神様に届くわけもないし、今さら願うのも愚かだ。