別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
「なんで取っておいたのか自分でも不思議なんですが、お会いして分かった気がします。
お兄さんのために一生懸命な晴さんが…自分の立場をおしてでもお兄さんの幸せを願った晴さんが…私の大切な人になったらいいなって…」

彼女がとても勇気を振り絞って、一生懸命に気持ちを伝えようとしてくれているのがわかる。

不思議な縁だと思う。

単純だと言われてしまえば言い訳のしようもない。

だけどその姿を見て、俺もこの人が、俺の大切な人になる予感がした。

「…じゃあ、旅に出るのはやめます」

「え?」

「この場所で、ゆっくりお互いのことを知って行きませんか?」

ドキドキしながら問いかけたら、彼女は顔を赤らめて、満面の笑みをたたえた。

「…はいっ」


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