別れる前にしておきたいこと ー Time limited love ー
すぐに目を覚ましたものの、倒れた時の音があまりにも大きかったため、念のために病院で検査をしたほうがいいとみんなに勧められ、仕事がちょうど一段落しているという秋の車で病院へ向かうことになった。

一段落しているなんていうのは嘘なんだろう。

今秋がしているのは通販部の仕事だけじゃないから、帰ったら席をはずしていた分のしわ寄せがきて遅くまで残業になってしまうのだ。

自分が健康管理を怠ったせいで、秋の仕事を増やすことになるなんて申し訳ない。

「頭、まだ痛いか?すごい音だったぞ?」

「うーん、触ると痛いからたんこぶくらいはできてるかも」

「ご飯食べてないのか?」

「食べてるよ。
今朝たまたま食べて来られなかっただけ」

明るく笑ってみたけど、秋は黙り込んでしまった。

一通り検査を受けたけど、もちろん結果は異状なしだった。

倒れたのはやっぱり貧血らしいということで、秋に強引に勧められ、売店で野菜ジュースを買った。

飲んではみたもののおいしくない。

そもそも野菜ジュースというものはあまりおいしいイメージがないし、普段飲むことがないのだ。

選択を誤っただろうかと思いながらも、秋が見ているから無理をして飲み干した。


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